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2018年 盛夏 [君たちはどう生きるか]

君たちはどう生きるか

暑中お見舞い申し上げます。

東京の日本橋にある書店、丸善日本橋店は同社全店舗二六八店の中でも明治二年にオープンした最も古い店舗です。東京駅から弊社の東京営業所に向かう途中、ほぼ中間地点にあるのでよく訪れています。その際に必ず立ち寄るのが、「丸善書店員のおすすめの本」の一角です。今年一月に立ち寄ってそのコーナーで買い求めたのが「君たちはどう生きるか」(漫画版、吉野源三郎氏原作)でした。その日は購入後、東京駅から帰阪の途につき、車中にてほぼ読み終えました。読後の深い感動もさることながら、普段は自分の読んだ本を人に勧めたりしないほうですが、この本は年齢や立場を超えて学生や社会人など多くの方々に読んでいただきたいと強く思いました。

八十年前に小説として発売されたこの本を、漫画化してマガジンハウス社が昨年から発売を開始し、今年の五月現在二〇〇万部を突破したそうです。販売数では『ノストラダムスの大予言』や「日本沈没」といった過去のベストセラーとほぼ同数で、歴史的にも大変な記録と言えますが、今後まだその数量はさらに増えそうです。

この本がなぜこれほどまでに売れているのかを私なりに考えてみました。まず私が買った理由。それは自分がよく足を運んでいる好きな書店(店員)のお勧めだから。そして次に、帯に書かれていた「池上彰氏が心から感動し、人生を決めた一冊」という推薦人とそのコピー。そして漫画家、羽賀翔一氏の描いた表紙の少年(主人公のコペル君)の真剣な表情といったことでしょうか。もちろん根本的には作品が優れている為、読後の多くの人が知人や友人、子供などに勧めていったこと、テレビでも取り上げられたことなどがここまでヒットした原因と思います。

全国の書店数は年々減少の一途をたどっています。現在四二〇の自治体・行政区で書店が一店もないという驚くべきニュースが発表されていました。人口減、活字離れ、Amazonなどのネット書店の台頭などが主な原因と言われています。もちろん電子書籍をタブレットで読んでいる方など書店を利用しない人口が増えていることも原因の一つでしょう。しかし縮小する国内の書籍市場においてもこの店舗のようにいつも多くの客でにぎわっている書店もあります。書店経営が困難といわれる時代にあって、同社一五〇年の歴史から大いに学びたいと思います。

新刊だけでなくこの本のように過去の優れた作品をどうすれば現代の多くの人にもっと読んでもらえるだろうか。この問いに対し情熱を持った編集者の熱意と工夫が漫画家とのコラボレーションを実現させ、さらに自分たちの判断で良い本を売ろうとしている書店員が取り上げたことも、これだけの骨太作品がまれにみる販売数となった原因と思います。

何を売るかも大切ですが、いかに売るかも大切だということを改めて再確認いたしました。

今年も暑い夏がやってきます。何卒ご自愛頂きご活躍されますよう祈念申し上げます。

平成三十年 盛夏

株式会社ミヤコ国際ツーリスト

代表取締役 松井秀司